
魔法にかけられた右足
その右足から放たれるボールが描く放物線は、もはや芸術の域に達している。
狙った場所へ寸分の狂いもなく、超が付くほどの正確さで蹴り入れる技術。
ピッチの端から端までを横断するような長い距離。それをピンポイントで狙うロングパスは人知を超えた芸当であり、史上最高レベルである。
彼の右足は超高性能な精密機械で作られている。
目を疑うほどの正確なキックもさることながら、ピッチ全体を上空から見下ろしているのではないかと思うほどの視野の広さも見逃せない。
「ここしかない」というスペースに、瞬時の判断で例の機械仕掛けのパスを送り出し、チャンスを量産する。
他の人間とは見ている場所・狙う場所が違う。俯瞰で見ている彼の目は、スタジアム上空に存在している。
キックの瞬間に左手をぐるりと回す印象的な仕草は、おそらく右足のゼンマイを巻いているのであろう。
機械で出来ていないとしたら、悪魔と契約を交わしたに違いない。そのどちらかでないと到底説明がつかないような、驚愕のキック精度を持つ伝説の選手である。


